山下医科器械株式会社 九州地区でトップクラスの医療機器商社。医業開業を支援するサービスも手掛ける 山下医科器械株式会社 代表取締役社長 山下 尚登　 (2015年7月取材)

上場後の危機 を乗り越えて

山下

我々の仕事っていうのが、簡易保険ですね。医療保険の制度の中で仕事をさせていただいているわけですね。特に医療材料の中でも、公定価格がきまっているような物も販売させてもらっているわけですけど、医療機関の方も公的医療保険制度の中での仕事をされていると。いろんな保険料とか税金がつぎこまれているんですね。その中で我々は仕事をさせてもらっている。そういう仕事をしているなかでは、我々は地域に貢献をなにかしらしているとおもいますけど。そういう部分を透明性がある部分でやっていく必要があるのではないかというのがあるんですね。公的医療保険の中でのことですので、そういう意味では上場して、透明性を高めて、地域の医療に貢献していくことが大事じゃないかなと言う風に思ったんですけどね。

聞き手

新しいチャレンジをされている中で色んな想像もしていない場面に直面したりするわけですよね。そういう時にいわゆる危機と言うか、そういうのを感じられた時のどう自分の中で奮起するというか。モチベーションを保たれているんでしょうか。

山下

１年半前に色々な不祥事がありましてですね。で、今はそこを大きく反省をしているところなんですけど。上場とかしていく中で、内部統制の問題とかあってチェックされているはずなんですけど。結局は底が抜けていたということなんですね。思うに質的日本一のために上場という手段をとったものの、それはかなりうわべの物になってしまっているんじゃないかというのが今回の大きな反省点ですね。かえって上場前の方が色んな面が細かく見えていたような気もするんですね。もちろんそれだけではないんですけど。レベル的には今の方がいいと思うんですけど。もっとそういうところを細かく網羅して見て行く必要がある。もっと質を高めなければならいということに気づかれたと。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それがこの１年あまりのことですね。当時ですけどね、もうこれは大変だと思いましたね。これはつぶれるんじゃないかと覚悟しました。ホントに企業として信頼を失ってしまったわけなので、これを立て直すのは並大抵ではないし。もう今までやってきたことを総点検しないといけないと。いうことは強くおもいましたし、ですので。お客様は信頼して買って頂いていたのにその信頼を裏切る行為をしてしまったということは強く私の心の中での一番の汚点ですので、強く大きな反省をしたところなんですけど。本当に会社としてどうなるかなとどうなるかなと思ったところですけど。

聞き手

その時、社員の皆さんはどうだったんですか。

山下

かなり動揺していたというのもあったんですよね。お客さまからもいろいろお話もあるし。ここで私自身としては、ここで踏ん張らないと。父や祖父から受け継いで来たものを失くしていかんと強く思いましたし、それは一番大切な従業員でもありますし。お客さんに対してメーカーさんに対しても大きな迷惑をかけてしまうということで、ここでなんとか踏ん張らないといけないと思ったところですね。あるいろんなその時は色んな本を読んだり読み返したりするんですけど。その時に社長が駄目だと思った時が会社が駄目になるってことが書いてあったことがあったんですけど。社長が大丈夫だと思っている時は大丈夫だと。だから最後まで捨てちゃいかんと思いました。

聞き手

やっぱりトップがそういうふうに引っ張って行く気持ちというか、絶対にあきらめない心と言うか、そういうのは大事ですよね。士気にかかわる。その危機があったことによって、社員の方の団結力というか、みんなでがんばろうみたいな、そういうのは。

山下

それはまたありましたね。またお客様もいくつかの所はもうしょうがないといいますか、当然お取引がなくったりとかですね。そいうことはありましたけど。社員もがんばり、お客様の温かく見てくださることもありましてね。メーカーさんも仕入れ先さんも非常に温かく。非常に今はコンプライアンス的には厳しい所もあるんで、それは対応していくんだけど。それはそれとして、お取引は継続して頂いたんで、今があるということですね。これはこのことを踏まえてですね。一年後ほど経つんですけど、社長メッセージと言うのを出していまして、根本の経営理念とかですね、基本方針とか、社訓とかっていうことをずっと私の想いとともに過去のいろんな歴史と祖父や父の想いとかを合わせて、出しているんですけどね。