株式会社オールアバウト 専門家がガイドする日本最大級の総合情報サイト『All About』を運営 株式会社オールアバウト 代表取締役社長 江幡 哲也　 (2013年5月取材)

価値観

1

江幡

この（経営理念の）ワードはキャッチコピーですから、理念は難しく言ってもわかりづらいと困るので、わかりやすい表現を自分で考えたのですが、一つはインターネットというものがグッと広がっていく中で、ちょっとシステムシステムしている感覚がやはりあって、使うのは人間なのにシステムが先にいってしまうような感覚があったんですね。

当時インターネットはすごく万能だと言って。僕は主体は人間であって、それは使う側も作る側も社会を構成するもの、人間が主役ですよ、というワードを込めたかった。

インターネット業界がシステムシステムと言っている時に、アンチテーゼ的に言うと非常に際立つではないですか。そういう効果を狙ってと言うのところが一つ。もう一つは専門家のネットワークというものを含めたかった。この２つですね。

1

江幡

立ち上げ時は１５０から始めようと思ったのですが、それくらいなら理念を体現できるかなということで、結果的にどうなったかというとテーマはわれわれが決めるんです。募集をするんです。

当時は、各方面からすごく注目をされ、結構公募がありました。ざっくりいうと半分くらいの方は、私がやりたいという人からどんどん売り込みがきて、残りはこちらからリクルーティングにいく、スカウトにいく。ほとんど立ち上げた僕や当時の役員やリーダーが一人一人口説きにいく。こんな感じで始まりました。

その後、メディアがどんどん伸び大きくなっていったことにより、オールアバウトの専門家、ガイドというのですが、ガイドのポジションを取れると自分の仕事に有利になるとか、自分の活動にプラスになることを皆さんが分かってきたので、やりたいという人が結構多いんですね。もう一つは、既存の頑張っているガイドさんが紹介をしてくれるようになったんですね。「こういう人いるよー」とか。ということで、比較的集めることは難しくない状態になっていますね。

1

江幡

普通の個人の方の口コミだとか集合知みたいなものも非常に有用ですよね。一方で全体でいうと少しぼけてしまうのですが、大きく分けて情報の分野というのは３つあって、ユーザーが求めるですね。

一つはやはりこの分野は個人のレベルでは厳しい分野。例えばお金のことや病気のこと、お医者さんでないと分かりませんよね。大きい買い物になると家のこと。このような専門家ならではの情報が必要な分野。これをわれわれは専門家領域と言っています。
あとは日常の生活周りのように、日常の。例えば暮らしの口コミ、レストラン、旅行、そういう体験の情報が個人の方が重要な領域、これを体験者領域と言っています。もう一つはコンテンツそのものを楽しむ領域。映画や音楽、これはエンターテイメント領域ですね。

それぞれによって必要性が違うと思うんですね。われわれは専門家領域というところで、まずベースを作ろうということで、専門家領域が強い形でやりました。あとはインターネットがその後、口コミ、掲示板、SNSなど個人が発信するようなツールがどんどん増えてきて、真ん中の領域が増えてきたんですね。体験領域。ここにおいてはそういった情報の必要性と、さらにそこに専門家の情報を加えることでより使いやすくなるという形を追い求めていると。

こんな形で全部をできれば自分たちでいいのですが、際だってやっていけるポイントとしては、われわれの強みを活かした方がいいのではないかと思っています。

江幡

総合的にいうと、色々な人が勝手に発信できるような情報状態になっていますよね。そうなると情報が玉石混淆でどれを信用していいかはユーザーが決めて下さい。これもいいけれどやはり面倒くさいということがありますので、専門家がまとめ上げるとか、これがいいよと背中を押してあげるとか、そういったニーズはもっともっと情報が増えれば増えるほど高まっていくと思うんですね。ますますわれわれは強くなれると。そんな見立てもあって際立つポイントでやっていこうと。

結果的にこのような状態で強みを持っているサイトは、実はわれわれしかないので、個人の口コミサイトはたくさんありますが、結果的にはよかったなと思っている次第です。面白みや色々な意見があった方が面白いケースもありますよね。組み合わせだと思いますよ。分野による。両方あった方がいいと思います。