幼児活動研究会株式会社 創業以来40期以上、連続増収。約1,000ヶ所の保育園、幼稚園で幼児体育を指導 幼児活動研究会株式会社 代表取締役 山下 孝一　 (2013年8月取材)

価値観

山下

私はこの仕事をやってつくづく運動、体育が、特に小さい子ほどすごく影響を及ぼすと思います。例えば昔でも今でもそうなんですけども、小さい子の年齢の子にとって、かけっこが速いというのはヒーローなんです。速い子をみると、みんながすごいと言うんです。それから跳び箱一つ見ても、跳び箱飛んだといったらすごいと。また跳べた子もやったと言うんです。

山下

私はこの仕事をずっとやってみて、つくづく子どもたちみて感じたのは、この小さい子どもたち。私たちは体育指導を本業としてやっているけども、子どもたちにとって私たちの体育指導って、どういう意味を持ってるんだろうと。それを深く考えるようになったんです。その時に、大人になった時に跳び箱を跳べたって、大したことないと思います。大人になって多少かけっこが速いからって大したことないと思います。

山下

じゃ私たちのやってることって、この子たちが大人になった時に、そういった意味を持つのかというと、子どもって最初からできる子いないんですよ。跳び箱一つとってみても最初は誰も跳べない。それを跳べない、あるいは泣きながら頑張って、何回か練習すると跳べた。その時の子どものうれしそうな顔。あの顔を見ただけで、この仕事をやって良かったと思うんですけども。おそらくその子にとってみたら、体でやったという実感、達成感を感じたんです、頭ではなくて。これってすごくきっと子どもにとって大きいんだろうなと。できなかったことはコツコツやって、先生に言われたように頑張ってやったら、できたという達成感。やればできるという達成感。これは学校に行った時に、大人になった時に、ものすごく大きな力になるんじゃないのかなと。そしたら子どもに体育って一番達成感が味わえる種目なんです。体育指導を通して、子どもたちに達成感を与えて、やればできるというそういった自信。そういった基の力をここで与えることができたら、きっと僕らの仕事って意義があるんだなと。

山下

それから社員を雇って、仕事をしてみて、またいろいろな幼稚園、お客さま、会社を見て感じたのは、大人になっ時に一番、人間として仕事をする上で、生きる上で、大事な力って何だろうと考えました。仕事をする上で、生きる上で、必ず失敗があって、困難があって、つらいことがあって、悲しいことがあります。でも私たちはそんなことは望まないんです。私たちは成功したいんです。失敗ではなくて。つらいことではなくて楽しいこと。不幸ではなくて幸せを経験したい。

山下

でも人生ってなんで成功よりも失敗のほうが多いんだろう、こんなに。なんで人生って楽しいよりもつらいほうが多いんだろうって考えた時に、きっと幸せになるためにはつらいことを経験して、悲しいことを乗り越えないと幸せになれないのかなって。本当に意味で成功するためには。いやだけども失敗を経験することが必要なんじゃないかと。見渡したら必ず失敗の経験、いやなこと、つらいことって、今までもあったし、これからもきっとあるだろうなと。なんでそうできてるんだろうと思った時に、失敗とかつらいこととか、そういったことを本当に人間が成長するために必要なことなんだと。だったら私たちはそういう経験をしてますよ。その時に大事なことはいやなこと、つらいこと、困難に逃げないこと、正面からぶつかって乗り越えること。

山下

私は今67歳ですけども、自分の人生を振り返ってみても確信できることは、乗り越えられない困難ってないなと。それは確かにその時はたいへんな思いをしたけど、振り返ってみたら、みんなああいったつらいこと、苦しいことって、自分にとって必要だったんだなと、こう思える年齢に今来ています。人、人生ってそういうことに違いないと。だったら子どもにはつらいことを乗り越える。失敗を、こんな失敗へっちゃらだと。そんなような子どもに育ってほしい。そんな基になる力を私たちの体育指導を通してこどもに伝えられたら、私が学校の教師になれなかった。でもなれなくてもそれ以上のことを今子どもたちにできるのではないか。素晴らしいなと今思っています。私はつくづく教師になれなくて、私にとってみたら本当に幸運だったんだなと思っています。今の私どものやってる子どもの体操って、日本中、世界中の学校の先生の仕事をひっくるめて、どの仕事にも劣らない、素晴らしいことだと思っています。