Vol.1 歴史
インタビュー内容
歴史
山下
私は大学に入って卒業する時に、中学、高校の国語の教師になりたいと、そういう思いで入ったんです。ところが試験を受けるというよりも、試験を受けることすら気がつかなくで、ともかくなれなくて、あきらめきれないので、じゃアルバイトでいいかと、アルバイトを2年間やりました。一生学校の先生なんかになれないと、半分あきらめかけていまして、学校の先生になれないなら何がいいかと。塾の講師でもいいかなと思って、新聞で、相当ありました。それで受けに行ったんですけど、6社ことごとく落ちました。最初は強がりを言ってました。俺みたいな優秀な人間を落とすなんて、こんな塾はすぐ潰れるなとか。六つもさすがに落ちますと、駄目なのは自分なのだとえらく落ち込みまして。同僚の同期の人たちはみんな教師になってるんですね。どうするんだろう自分はと、こう思いました。
山下
たまたま中学、高校で器械体操をちょっとやってたんです。そんなあれで、本当に偶然に幼稚園で体操をやらないかという話があって、幼稚園の子の体操って何だろうと思って、ほかにやることもないので、それじゃと言って行きました。終わった時点はやっぱりこれは私のやる仕事じゃないというので、幼稚園の門を出るんです。この時に子どもたちがあとから追っかけてきて、よっぽど面白かったんでしょうね。何で変えるんだとか、もっとやってくれとか。私にしたら冗談じゃない、こんなの私のやる仕事じゃないと。それで終わってれば今の会社がないのですが、ともかく仕事がないんです。しょうがないから、またのこのこと次行ったんです。門のところに子どもたちが40人ぐらい群がってて、来たとか、体操の先生だとか。毎朝私のことを待ってたというんです。
山下
つくづく人間というのは、必要とされるとか、あるいは期待されるってすごく人間にとって大事なことで。それまでの私は、私みたいな人間は社会に必要としてないんじゃないかと。教師も駄目、何をやっても駄目だし、正反対の子どもの反応で。その時に子どもっていいんだなと。それまで子どもが好きでも何でもなかったんです。やればやるほど、子どもの素晴らしさ、子どもって素晴らしいものだと思いました。私は同時にやればやるほど、経営者としては駄目だと思いました。
山下
一番悩んだのが人間関係です、社員との。それで一番困ったのが、新人の社員が半年もしないうちに「社長、将来どうなるんですか」と聞くんです。どうなるかもまだ目途もつかない会社。だから入ってきたら辞める、入ってきたら辞めるんです。それが私自身問題があると気がつかないんです。だけど変わりました。会社勤めするという人は、1日の大部分を会社の仕事に取られるんだと。社員ってこんなに働いてくれるんだと。少しも社員の人生考えてない。
山下
その時初めて、俺は一人前の経営者になりたいんだと、つくづく思いました。安心して働けるような会社にしたい。そのためにいい会社にしたい。もっと会社も大きくしたい。やるからには一番にしたいって。お前たち日本で一番の会社って知ってるかて。そうしたら社員はええというんです。トヨタ自動車を知ってるだろう。あのトヨタを追い抜くんだと言ったら、社員がみんな笑うんです。当時の社員ってまだ腰掛の社員が結構いたように思います。だから全然私の話を聞いてくれなかったです。それでも私は絶対この会社を良くしたいということで、今でも思い出しますけれども、服装も改めようと。ジャージとかジーパンで出勤してくる会社なんてないんだから。一流会社、いい会社にしたいから、やってくれと。ネクタイもしようとか。こういう話をしたら、大反対をくらいまして。とんでもないと。自分たちはネクタイ、スーツじゃないから、いいと思って仕事してるんだと。ほとんどの社員が辞めますって言われました。
山下
ただその時に社員の顔をずっと眺めながら、お前たちこの会社を誇りに思ってるかと。たぶん思ってないだろうって。10年、20年、30年経った後もこんな会社にいてもしょうがないって。できたら学校の先生になりたい。もっといい会社に行きたい。お前そんなこと思ってどうするんだって。そうしたら「社長」というんです、社員が。俺だっていい会社にしたい。本当に社長の言うようにネクタイ、スーツに変えたらいい会社になるんだったら。こうやって言ってくれた社員もいたけれども。半分近くの社員は去って行きました。
山下
だけど一人社員が、半分泣きながら、今日辞めると言った社員、辞めていったあの人たちに、あの時辞めなければ良かったと言われる会社に是非しましょうと、泣きながら社員が私に言うんです。嬉しいですよ。こんな社員が目の前にいるんだ。是非ともこの社員と一緒になって、もっといい会社にしようと。それが一番、今ある基じゃないですかね。
経営者プロフィール
| 氏名 | 山下 孝一 |
|---|---|
| 役職 | 代表取締役 |
| 生年月日 | 1946年8月4日 |
| 出身地 | 福井県 |
| 座右の銘 | 『積小為大』 凡人の私に出来ること |
| 愛読書 | 蝉しぐれ |
会社概要
| 社名 | 幼児活動研究会株式会社 |
|---|---|
| 本社所在地 | 東京都品川区西五反田2-11-17 HI五反田ビル |
| 設立 | 1972 |
| 業種分類 | サービス業 |
| 代表者名 | 山下 孝一 |
| 従業員数 | 514 名 |
| WEBサイト | http://www.youji.co.jp/ |
| 事業概要 | 全国の幼稚園、保育園で体育指導、独自教育「YYプロジェクト」との普及を図る。園経営コンサルも展開。 |