株式会社ユニバーサル園芸社 創業以来、レンタルプランツ事業を中心に業界初の上場会社として海外へも進出 株式会社ユニバーサル園芸社 代表取締役社長 森坂 拓実　 (2013年6月取材)

価値感

森坂

経営理念というのはいろんな人が、いろんな角度から定義づけするのですけど、私の場合は２０歳でがむしゃらで、人生二度なしでしたので、経営理念なんていらないんですよ。ところが２０年やったら４０歳、小さい家も建ち、車も買いました。会社もちょっと安定しました。収入も普通にいただけるようになりました。そうなると人は働く意味みたいなものが薄れていくのです。

森坂

いわゆるハングリー精神と人生二度なしで来たわけです。ところがハングリー精神はもうなくなってくるわけです。そうすると、なんのために働くのかという理屈を作らないと働けないのです。他人以上に頑張って働くには理由がいるのです。明快な理由がないと人間って働けないのです。

愛するこの人のためにというのが、持続するのであればいっぱい働けるでしょう。それが私にとっては経営理念なのです。経営者に「それがないと明日一日頑張れません」というものがないと、いけないと思うのです。

ハングリー精神がなくなったからさぼってしまう。「この為にやるんだ、俺は」といって、だから６５歳になってもまだやっている。死ぬまでやるのだと。それがなかったら、もう遊んでいます。そういうものだと、私は経営理念を解釈したのです。

何を求めてゆくのかという選択になったときに経営理念を作って私はこのためにずっと頑張るのだと思ったので、あんまり遊んでいないのです。まじめにやっているのです。そういうものです経営理念とは。

森坂

その核心は「人生二度なし」です。人生は二度とないのだから、どうすんの？と。やっぱり少しでもこういう小さい業界だけど、やっぱり会社を立派にして、業界でも素晴らしいなと、みんなに認めてもらい、業界の発展に貢献できるように、その程度のことなのです。

森坂

経営理念というのは、本当に必要性を感じて作っている人は、たくさんいないのですよ。園芸の仕事というのは好きな人がコツコツとやってきてこうなっている人がほとんどなのです。だから好きだから続いていると、振り返ってみたら小さい業界ですよ。みんなが、私もそうですが、そこの親父が創業の時、スコップ持って植木植えたりしながら、コツコツとお店やって、１店出したり２店出したりやってきた人がほとんどのような、中小零細のかたまりみないな、だからうちが仕事で大手になってもシェアはちょっとなのです。

個人の人がたくさんやっているから、そういう業界なのです。小さい商店は、社員が５人いて５００万円儲かったら５００万円社長がとるのです。１千万円もうかったら１千万円社長がとるのです。それが個人経営なのです。例外はほとんど見たことありません。そういう零細企業の業界なので、普通の経営をして見せたいのです。

森坂

私は自分ではとりませんと、だから昔から私の会社では、１千万円残ったら会社に残しているのです。園芸業界調べていただいたらわかると思いますが、うちみたいに財務体質がちゃんとしていて、貯金もして、自己資本比率が高い、そんな会社はまったくないですよ。

そういう業界だから、ちゃんとしたところを見せたいのです。もうちょっと立派になったらそれを理解していただけると思うのですが、今はまだ規模的にそれがなかなか理解されていません。

自分が目指す経営は公明正大な経営をしたいわけです。見本になるような。それを可能にするのは上場するしか方法がありません。上場というのは株を売ったり買ったりするところにでるわけなので、本当は嫌いなんです。だけど、そういう機関がないんです。上場以外に公明正大をきちんとできる。

上場したら数字は１００%ごまかせません。きちっと正確でしょ、全部ガラス張りでしょ。個人商店でなく普通の会社として、私物化しない経営、かっこいい経営をするというのは、上場なんだろうと、最終的に思いました。