株式会社パソナ　パソナキャリアカンパニー 人材紹介事業において、業界トップクラスの実績を誇る 株式会社パソナ　パソナキャリアカンパニー カンパニープレジデント （代表者） 渡辺 尚　 (2013年2月取材)

価値観

渡辺

パソナグループ全体の経営理念というのは、「社会の問題点」を解決する、というこの一本なんです。これは本当に浸透していて、例えば会社の中で新規事業の提案をしたとしても、「儲かります」というだけでは絶対に通らないんですよ。それが社会にどう役に立つかという社会貢献性と収益性の両方があって初めて通るようなものなので、そこは本当に隅々まで徹底されているのかなと感じています。パソナキャリアがどういう理念で立ち上げたかというと、失業して困っている人を助けたいという、そういう思いからスタートしているんですね。

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渡辺

最初は再就職支援事業一本で立ち上げて業界トップになれまして、次に人材紹介のほうで全国でもっとできないかということを考えたんです。というのは派遣系で全国網を作っている会社は結構あるんですけれども、人材紹介をベースに全都道府県に拠点を出しているのは、気がついたら当時私たちだけで、そこで、グループの中にあった「パソナキャレント」という業界４位の人材紹介会社と相談し、社内で合併して人材紹介を全国展開のできる基盤を作ろうという事になったんです。

これは例えば地方の進学校を出て首都圏とかに就職し、色々なご事情で地元の有力企業に帰りたいと言っても、なかなかルートがないんですよね。そういうことを全都道府県に拠点があり、都会の人材と地方の有力企業をつなぐパイプの様な仕組みがあれば多くの方の役に立てるのではという思いがあって、これはリーマンショックの前に実はいくつも展開していたのですが、その後再就職支援のほうがかなり忙しくなってきて、そちらの方に地方支店を特化し、今現在は人材紹介を三大都市圏に集中しているとそういう状況なんです。ただどこかで時期を見て、また改めて地方での人材紹介の展開というものも徐々に復活していきたいなと考えています。

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渡辺

現在パソナキャリアでクレドカードがありまして、私たちでも共通の理念を持とうと。ベクトルを合わせようとして、今１０年目くらいになるんです。これは数年おきに現状に合わせて改訂してまして、社員のメンバーが作っているもので現在のクレドは出来てから３年目くらいですが、そこの最初に書いていることは私たちは「良い会社」＝「かかわるすべての人が幸せになる会社」を作ります、という文言からスタートしております。

これは「良い会社プロジェクト」というものを立ち上げまして、世の中の本当に良い会社の研究を行ったんです。その結果、業界の中でも非常に良いと言われている、従業員満足度も高く、社員の定着率も高く、顧客満足も極めて高く、よって業績も良いというそういう会社を調べた結果、共通して言えた事がまず、社員を大事にしていると。社員とその家族と。その上で社員が会社から大事にされますのでお客様のことを大切に扱う。よって、お客様の評価が上がり、リピートの顧客が増えてくる。よって高収益に繋がり、その高収益が社員に還元されるという良い循環が出来ていたんですね。ですから私たちの理念の最初にくるのは「かかわる全ての人が幸せになる会社」。順位としては社員から始まるというそういう事なんです。

私たちの価値観は４つに定めているのです。一つ目は「利より信を選ぶ」。これは利益より信頼を選ぼうという意味なんですね。短期的な利益を追って信頼を失うというケースは世の中にたくさんあるではないですか。何かあった時にこそ、信頼のほうが大事ということを、全社員に共有したく、これを価値観の第一番に持ってきているんです。二つ目の価値観というのが、仕事と売上の定義で、私たちにとって仕事というのはお客様に喜んでいただくことと定義しています。

ということは売上というのはお客様に喜んでいただいた量と正比例すると考えています。これはあらゆる業界でそれが当てはまると思っていまして、短期的には安売りをしたり、広告宣伝をしたりとか、営業力を使って売上を伸ばす事はできるのですが、一度使ったお客様がリピートするかどうかというのは満足度と比例していますので、売上＝お客様に喜んでいただいた量、と定義する事はとても大事だと思っています。

渡辺

人材会社は商品がないではないですか。ですから社員が商品みたいなもので、そこの人間性の高さやモチベーションの高さが私たちの業績には正比例してきますので、社員を大事にするのが全てのスタートだと思っています。