Vol.4 高品質と量産を両立できた理由
インタビュー内容
高品質と量産を両立できた理由
角田
日本酒造りっていうのは、加工産業なので、技術を持った人達が集まった組織じゃなきゃいけないわけですよ。そうすると人を雇っていっぱい作ればいいっていう事じゃなくて、品質を維持向上させながら、量を造るという事になると、人を育てながら、組織を強化してっていっぱい作る事に取り組まなくちゃいけないんですよ。そうすると、なかなか大変ですね。
聞き手
そうですよね。
角田
思うようにいかないんですよね。ですから、当時2か月か3か月の間1日も休まないで酒造りに取り組んでいた蔵の連中が今でもいますけど、その人達がリーダーになってますね。
聞き手
でもその方が支えて下さったからこそ、今があるって事ですよね。
角田
本当に、その時こそ、組織っていうのは人間力だなと思った事はないですね。
聞き手
お酒ってどんなにオートメーション化・機械化しても、作り手の人達や、自然の環境やいろんなものが上手くいかないと、ちゃんとしたものが出来ないっていう。
角田
僕も実はそう思ってたんですよ。量を造る事で品質が落ちていく。それは今おっしゃる通り、そういう環境の変化だとか、そういう事で品質が量を造ると雑になるわけですから、品質が落ちる可能性っていうのが大きくなるんですよね。それでいっぱい作るメーカーは品質が落ちて、良い物を作ってる所っていうのは、量が出来ないから、不足になってもしょうがないっていう事は、まことしやかに、その当時は囁かれてたわけですよ。
聞き手
ええ、そういうイメージはあります。
角田
僕らもその時に、それはそうだと言ってました。でも、だからといって責任を果たさなくていいってわけではないし、何といったって、ずっと継続して経営していくとなれば、そこを何とか打破しなくちゃ駄目だろうと。だから俺たちは、量を造って品質を向上させて、そして市場が広がったらまたそれで、俺たちはそうすると存在価値が上がった事になるじゃないですか、それは俺達、一人一人の存在価値が上がったという事だろうと。
まあ頑張りましょうよって言って、何とかやってて、それで平成15年位、13年だったかなに、3万石になったんですね。で、その3万石位になって、安定的に3万石を大体、3300石位を10何年間は行ったり来たりしてるんですけども。僕らの一番の強みは、そういう物を品質を、それで80%がレギュラー酒なんですよ、3万石の内の80%がレギュラー酒なんです。この2種類、特別本醸造と普通酒って呼んでいるもので80%の酒を造ってます。
で、大体2600石位のお酒を2種類作っている、それの麹は全て手作りでやっているんです。今は機械作りってありますけど、そうじゃなくて、ちゃんとみんなが手でこうやって、そして、突破精麹、吟醸クラスの品質を僕らは設定して、その作りをやってますから、そういう組織が出来上がるんですよ、何年か経つと。ですから、僕らの一番の強みは、3万石の内の80%の酒をそういうような作り方で、作っているそれで一番大きい仕込みで、三段仕込み以上にはしないだとか、そういう条件を全部クリアして、2、30年経ったら、そういうような事が出来るようになった組織になったわけですね。人が無理だと言ったら、じゃあやろう、みたいに。
聞き手
それは社長のご性格もあるでしょうか。
角田
性格もあるでしょうけどね、人様がしている事を僕らが今更やっても勝ち目がないですからね。
経営者プロフィール
| 氏名 | 南雲 二郎 |
|---|---|
| 役職 | 代表取締役社長 |
会社概要
| 社名 | 八海醸造株式会社/株式会社八海山 |
|---|---|
| 本社所在地 | 新潟県南魚沼市長森1051番地 |
| 設立 | 1922 |
| 業種分類 | 食料品、飲料・たばこ・飼料製造業 |
| 代表者名 | 南雲 二郎 |
| 従業員数 | 147 名 |
| WEBサイト | http://www.hakkaisan.co.jp/ |
| 事業概要 | 清酒「八海山」の製造、並びに酒類の卸、八海山泉ビールの醸造、魚沼地域の産物・加工品の販売 |