Vol.3 事業
インタビュー内容
事業(フェイズ1からフェイズ)
貞松
私たちは今フェイズ2というタイミングで事業計画をやっています。
フェイズ1というのは企業インフラを整備するということで、ショッピングセンター中心だった我々が百貨店に面をしっかり持つ。表参道にフラッグシップショップを出して、そして伊勢丹さん、三越さん、高島屋さん、大丸松坂さん、いろんなところに広げていく、そしてベトナムに工場を作る。海外進出の一つの実験の拠点として、台湾に店舗を展開する。これがフェイズ1です。フェイズ2というのはこれを形にする。
やってみて分かったことは1つ目は海外というのは、日本のブランドはアドバンテージがあります。あきらかにあります。
貞松
メイドインジャパンというのは力があるんです。これは利用しない手はない。逆にいえば、日本でブランドをしっかり作れば、海外では勝負がしやすい。あせる必要は全然ない。あと3年、今やっているフェイズ2の5年間はその時期で、意外とそういうところは堅いので、課題に対して確実にやっていく。今この5年間でやっているのはブランドビルディング。これは海外展開を一気に進めるだけの可能性がある。
そして海外については台湾で、いちばん親日的だと言われている海外である台湾であと3年実験をする。そして、もう1つはSPA体制です。
貞松
もうSPAでないと、洋服と一緒で生き残れません。SPA同士の競争になっていますので、事実上。ですからこのSPAの体制をフェイズ1で作ったインフラを完全に使いこなすところまで、この5か年計画でやってしまう。そこからでも全然遅くない。海外拠点はベトナムです。アジアに展開するためにベトナムに拠点を置いているわけですから、日本のはじからいちいち出す必要はないので、しっかり仕上げていくということです。
貞松
最近ある商品を作ってたのですが、最近というかすごく時間をかけて作ったのですが、ダイヤモンドの中に星が見える、「Wish upon a star」というものを作りました。
この石は普通のラウンドブリリアントカットに比べると、単純に生産性でいうと、100倍生産性が低いんです。難しい。ラウンドブリリアントカットというのは、1919年にマルセル・トルコフスキーという、この人が発明したんです。数学者です。上から入ってくる光を可能な限り上に返す。これを輝きというわけですが、これを追い求めたものが、ラウンドブリリアントカットという今主流になっているカットです。
Wish upon a starというのは、ダイヤモンドの中に2つの星が浮かび上がる、映像として。それにこだわったんです。そのためには何が違うのかというと、全部光を返すなと。2つ小さな星と大きな星が。
貞松
返さない部分は落とさないとコントラストが出来ない。光を支配しないと出来ない。我々が調べるところ100倍難しいのに、なぜやるのかというと2つの星を出したかったから、今でも3割ぐらいラフを捨てています。ラフというのは原石を、失敗して。
貞松
地球上にあるダイアモンドは、30億年前にできているのですが、地球最古のダイヤモンドは、60億年前に出来ている。
地球ができて50億年ですので、地球より古いんです。多分、宇宙空間に浮かんでいた物が地球が固まっていく中で、吸い込まれたのだと思います。去年も地球から40光年離れたところにアメリカとフランスの天文学者が、ダイヤモンドでできた星を発見しています。実はダイヤモンドは星だったんです。星だったダイヤモンドを星に戻そうと、それだけなんです。みんなにもっと願いを込めてもらいたい。小さな星は今の自分自身、大きな星は未来に輝く自分。それを永遠のものであるダイヤモンドに込めて、いつか生まれてくるお子さんに贈って下さい。と言われたrどうでしょうか。自分の人生が豊かになる、頑張ろうと思うのではないかと思う。そのために星を出したかった。そのことを現場が知っていることは、ものすごく大事なんです。
小説を作るように映画を作るようにジュエリーを作りなさい。我々は表現者でありたい、伝達者でありたい。それにジュエリーという媒体を選んでいるので、物やっているのではなくて、事をやっているんです。そういう意味ではジュエリー業界ではないのかもしてないと時々思います。
貞松
フィリップ・コトラーというマーケティングの神様といわれている人が、マーケティング3.0という理論を去年あたりから言っています。例えば商品の後ろ側にある企業のポリシーに精神性に共感して、人は物を買うようになる。
例えばボルビックが1L for 10Lというミネラルウォーターのキャンペーンをやりました。水を買うとアフリカに井戸が掘れる。どうせ買うのならそういうことに参加したいと、後ろにスピリッツが感じられるからです。ミネラルウォーターが売れたのかスピリッツが売れたのか、これをコトラーは3.0と言っているんです。我々は星のダイヤモンドでも、なぜ星を出したかったのか、これを買ってもらっていると思っています。
宝石業界は低迷していますが、しかし想いの業界は低迷していないのではないですか。だって、人間はそうなんだから。そういう次元に世の中は入ってきたのではないでしょうか。人と人とのつながりや、愛情だとか温かさだとか、そういう事の方が大切になっている時代に、ジュエリーは何ができるのか、ジュエリーだからできることがあるでしょうというのが、私たちが一番言いたいことです。
経営者プロフィール
| 氏名 | 貞松 隆弥 |
|---|---|
| 役職 | 代表取締役社長執行役員 |
| 生年月日 | 1961年12月22日 |
| 出身校 | 成城大学 |
| 座右の銘 | 夢を持つのは能力だ! 散歩のついでに、気がついたら富士山に登っていた人はいません。まず「富士山に登ろう!」登りたい!」と思うこと。 「夢を持てない時代」で「夢を持つこと」はひとつの能力だと思います。 |
| 愛読書 | フィリップ・コトラー「マーケティング3.0」、P.F.ドラッカー「経営の条件」 |
会社概要
| 社名 | 株式会社サダマツ |
|---|---|
| 本社所在地 | 東京都目黒区中目黒2-6-20 |
| 設立 | 1974 |
| 業種分類 | 小売業 |
| 代表者名 | 貞松 隆弥 |
| 従業員数 | 461 名 |
| WEBサイト | http://www.sadamatsu.com/ |
| 事業概要 | 宝飾品(貴金属類、宝石類、アクセサリー)、眼鏡類、時計等の販売。 |