株式会社ウェザーニューズ 世界最大の気象予報会社。世界29都市に展開。800万人の個人会員も有する 株式会社ウェザーニューズ 代表取締役社長 草開 千仁  (2015年8月取材)

Vol.4 自然災害への取り組み

インタビュー内容

自然災害への取り組み

聞き手

先程の創業の出発点となった事故もそうですけど、もし御社のサービスがもっと広く一般にも浸透していったり、個人にも、民間企業の小さな所にも浸透して行く事によって、起こらなくて済む事故というか、それを未然に防ぐと言うような事が。

草開

ミッションというのは、私のみならず、ウェザーニューズの社員全員が考えている事ですね。今そこにあります、1970年の空港丸の事故が。

聞き手

社内の至る所に、その当時の新聞記事が置いてあるんですね。

草開

そうなんです。やはり気象っていうのは、勿論、その経済性っていう追求っていう面で大きな役割は担うんですが、やはりトッププライオリティは安全性なんですよね。ですので、やっぱり自分達の出してる情報が、時には人の命にも関係するんだという、それだけの責任と、それだけのプロ意識を持ってサービスを提供し続ける事、これがやはり非常に重要な事なものですから、1970年の創業のきっかけっていうのは、絶対忘れちゃいけないというふうに思って、日々毎日仕事をしておりますね。

聞き手

近い所ですと、東日本大震災、あれももっと早く分かっていれば、どうにかなったというそういった事は、悔やまれる所というのは皆さん持っていらっしゃる方多いと思うんですよ。

草開

そうですね、あの当時のエピソード、あれは地震がきっかけに津波という事で大きな被害になったと思うんですけど、地震の予測に関しては、私達も取り組んでいるものの、これもまだまだ、費用対効果どころかもっとその3歩ぐらい前なんですね。

で、一方、津波に関して言うと、津波予測はある程度気象庁さんも出来ますし、私達も出来るんですが、特定の所まで行かないんですよね。東日本震災以降、ウェザーニューズは気象会社ですけども、自分達のドメインは、気象だけでなくて、地象、空象、水象、海象という全てに含まれるものですから。

やっぱりウェザーニューズらしくやる為には、一つはまずは自分達はすぐ東北に行って、お客さんがおられるわけですから、どういった事が困っているかという事を聞こうと。当時皆さんおっしゃっられてたのは、結局沿岸作業っていうのがあるんだけど、揺れるとまた来るんじゃないかと思って、その度毎に一回避難すると。で、何も来ないと。これの日々繰り返しという事なんで、予測じゃなくても良いから、ナウキャストというんですけど、少なくとも、来たんだったらそれを知らせられるシステムはないのかと、で、津波って時間掛かりますので。例えば、沿岸30キロ先ぐらいで検知できれば、だいたい15分から20分のリードタイムを取るとかが出来るわけですよね。

多くのお客様からそんな話を聞いたので、私達の技術の連中が中心となって、津波レーダーというのを開発しまして、これは船舶用に使われている船舶レーダーっていう船に付いているレーダーを使って、本来は向こうに船があるかどうかを見る為の物、これを使って津波が近づいているんだったら、その津波が向こうから来てるって事を検知する。そんなエンジニアリングする事によって、そういう事も可能だという事が分かりましてね、これを今北海道から沖縄まで、沿岸約30か所、沿岸に全て付けて、で、現在津波がもし来たんだったら、大体30キロ先ぐらいが見えるものですから、30キロ先に検知して、で、契約して頂いてるお客さんから、今はこのスマートフォンでも見る事が出来るんですけど。津波が来ている事を、いち早く予見するというそんな仕組みを作りました。

聞き手

やっぱり事があってからというようになってしまいますが、そういう失敗を、受け止めながら、また次起こらないように新しい手を打っていくという、それをやり続けるとして、最終的には。

草開

やっぱり気象会社の使命なんだと思いますよ、例えば、先程津波レーダーのお話しをしましたが、もう一つ今、WITHRADARって言う、ゲリラ豪雨、ゲリラ雷雨を検知する為のレーダーを、私自身がメーカーの方と共同で80台設置したんですが、これはこの特徴は、6秒毎に雨雲を検知するものなんです。

聞き手

6秒。

草開

はい、もの凄く早いんです。ただこれもゲリラ豪雨みたいなのが発生しない、昔の日本じゃ必要なかったと思います、これは。ところがやはり環境の変化で、ゲリラ豪雨が発生して、当時雨雲を検知する為の気象庁さんのデータが10分毎の観測だったんですね、10分だと発生してへたすれば、終わってしまうという事で、何とかならないのかというような事を、航空会社とか鉄道、道路とか皆さんがおっしゃられて、みんなで頭使って捻って、最終的に出てきた答えは、飛行機の先端に付いてるレーダーがあって、エアボンレーダーって言うんですけど、これは飛行機飛んで行く時に、目の前に雨雲がないか見る為のものですので、これで6秒毎に観測しているんですよ。

聞き手

凄いですね。

草開

そうなんです、これを地上に置いたらどうかというアイディアですね。当然パイロットの為にあるものですから、出てくるデータというのは、赤青黄色ぐらいに簡単なデータのものなんですけど、もっと細かいデータがなきゃ駄目なので、そういった所のエンジニアリングを行って、で、これを今80基位日本全国に整備したんですけど、これも言われてみれば、後追いなんですよ。やはりゲリラ豪雨って今までにないような現象が出てきたので、じゃあこれを捉えて対応策取る為には、どんな観測システムがいるんだろうかというこんな事ですので、もうずっと繰り返しだと思いますね。この、それでも毎年起こる気象災害に関して、これをいかに少なくするかっていうのは、これは国だけの仕事ではなく、民間の私達にとっても大きな一つのミッションなんですね。

で、ここに対するウェザーニューズとしての取り組みの一つは、今ご説明申し上げたような独自の観測インフラを整備していくというのも一つなんですが、例えそれがあったとしても、その情報を住民の人達が見てなかったら何の意味もないんですよね。

で、今私達がやってるのは、現在プロジェクトというんですけど、要は、地方自治体の方とウェザーニューズとが一緒になって、ウェザーニューズはウェザーニューズの持っているコンテンツ、それからサポーターの方達の実況データ、行政は行政が持っている、例えば避難所の情報とかそういった物を同じ場所で全部共有して出しましょうと、市民の方、ないしは、県民の方、皆にそこさえ見ればともかく最新の情報が分かる。こういった形を、プロジェクトとしてやろうという事で、これを更に今はその地方自治体とウェザーニューズだけなんですけども、例えば、そこに交通機関の方にも入って頂くとか、それこそ放送の方にも入って頂いて、ともかく、何か気象災害が起こり得るないしは、これから起こる、もう既に起こってる時には、ともかくここさえ見ればいいんだというようなものを立ち上げる事、今我々にとっては重要な課題とテーマかなと思います。


経営者プロフィール

氏名 草開 千仁
役職 代表取締役社長

会社概要

社名 株式会社ウェザーニューズ
本社所在地 千葉県千葉市美浜区中瀬1-3 幕張テクノガーデン
設立 1986
業種分類 情報・通信業
代表者名 草開 千仁
従業員数 742 名
WEBサイト http://weathernews.com/index.html
事業概要 気象の観測、解析、分析、予測
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