イートアンド株式会社 『大阪王将』を中心に全国440店舗を展開する総合フードビジネス企業 イートアンド株式会社 代表取締役社長 文野 直樹　 (2013年6月取材)

キャリア

文野

やはり一番求めているのは、現場で商売の匂いをかげるビジネスマン。これが伸びると思う人、あるいはこれがあるとお客様はきっと喜ぶだろうなという、いわゆるビジネスの匂い、商売の匂いを感じられるというセンスを持っている人を一番求めているんですね。非常に難しい話だと思います。従って、その部分は常に不足している状態ですし、そういう右腕、左腕がいっぱいいますという会社は見たことがありませんし。僕のところもそういう風になるとは思わないんだけれども、やはり一番求めているのは商売の匂いですね。そこが感じれる人が1つですね。

文野

あともう1つは社長と従業員の差、圧倒的な差というのが、二者択一を従業員というものはするものなんです。社長は二者択一しないんです。両方とも欲しいと思うから独立されているし、トップを張ってらっしゃるんですね。ということは、二者択一するという文化をなくしていったもの勝ちなんですね、会社の成長の源になりますのは。

それも難しい話なんです。やはり二者択一をしないということは、非常に理不尽な話になるんですよね。理不尽なことをストレスに思わずに、完遂させてしまうビジネスマンというのがたまにはいるんです。僕の所にもいます。結構います、数としてはね。そういう理不尽なスケジュールや、理不尽なコストや、こっち取ったらこっち立たずでしょうということを、両方取るようというようなビジネスマンを多く集めた会社が、多分勝ちになるもんですからね。

文野

僕のやり方というのはメッセージとストレスって、自分で言っているんですけど。社員の皆さんにストレスをかけながら、でもストレスをかけている理由をメッセージとして、はっきりと謳いながら。メッセージとストレスがあるものですから、従業員の皆さんは大変だけども。結果としたら、成長するだろうなということに、うすうす気が付いている方が、しっかりとこの会社に長くいて頂いて、会社を支えてくださっているという構図になっているんですよね。

肝心なのはそのことに対して、共感してくれるためには、会社の思想がしっかりしていないと共感してくれないですね。社長の個人的な欲とか個人的なことだけでは、誰も共感しないものですから、会社の思想やポリシーというのは非常に大事になると思います。

実際にイートアンドを支えているのは、そういう人たちでしょうし。先ほどのニンニクたっぷり、ニオイすっきりというニンニクのパンチを残しながら、消化したあと、食べたあとに匂いが消えていくというのは、これはまさに二者択一せずに、おいしさと匂いを両方とも、両輪に回していこうという。そういうアイデアがそういう人達から出ている訳ですよね。

文野

会社の成長の瞬間、瞬間というのは、よく言うソリューションという言い方がありますけども、問題を解決した時に会社というのは必ず成長しているんですね。ですから、多分僕たちも30年間おかげさまでずっと増収の会社なんですね。利益は多少でこぼこありますけども、増収しているということは常に新しいお客様が創造できているということですよね。新しいお客様が創造できているというのは、常に問題解決が出てきているから、ということにほかならないものですから。

話は戻りますけど、理不尽なスケジュール、理不尽なコストというものをソリューションしていく。そのためには二者択一ではなくて、両方とも解決させるという欲張りなビジネスマンが育ってきていますから。必ずこういう人たちは、いずれイートアンドを支えて、さらに大きくしてくれるんだろうと思いますし、非常に楽しみにはしています。

文野

東京に本社を移したのも、さらにそういったアグレッシブでクリエイティブな仲間を増やしたいものですから。人材確保、人材育成という一番大きな理由があって、去年10月に本社を移しました。

その成果が来期には出てくると思うんですけどね。スピードも上がっていきますし。大阪が悪くて、東京がいいという話ではなく。一番情報とスピードと、男子も女子も外国人も一緒になって東京ってビジネスしていますよね。そういうところで揉まれていると、毎日悔しい思いばかりするものですから。その悔しさが、コンプレックスがきっと伸ばしていくんだろうなと思ってですね。僕自身もコンプレックスを持ちながら、それをバネにしていこうという風に思っているものですから、そういう戦略です。