Vol.2 価値観
インタビュー内容
価値観
出雲
私、よく誤解されるのは、銀行が面白くなくて辞めたのではないですかと、こうおっしゃられるんですが、とんでもない話で、住宅ローンの仕組みですとか、企業にお金を貸し出す仕組みとか、銀行の仕事は本当に楽しくてですね。
ミドリムシは難しいから、もうこのまま、ミドリムシはなしと。銀行に残って、ここで頑張って出世したほうが、よっぽどましな人生ではないかと。それは私、毎日思っていました、正直。
でも最後、何回頭の中で自分の人生をシミュレーションしても、どうしても一箇所だけ乗り越えられないポイントがあったんですね。
例えば銀行の支店長になったとします。 55歳の時に「出雲支店長、お車の用意ができています」。支店長車に乗りに行く時に、テレビかラジオからですね、佐藤さんという人が世界で初めてミドリムシの培養に成功して、このミドリムシのおかげで世界の栄養失調の子どもたちが減ってですね、今はみんな健康に暮らすようになりましたと。
そういうテレビ番組を見たら、一生後悔すると思うんですね。そういえば、自分も昔ミドリムシを思い付いてやったけど、自分はできなかった。
この佐藤さんすごいなって言うくらいだったら、銀行でどんなに出世しても結局後悔の人生になってしまうと。
人生一回きりですから、まあミドリムシをやってみようと。
ミドリムシをやって精も魂も尽き果てて、やっぱりミドリムシ、ダメだったってなったら、銀行に謝って、もう一度入れてくれませんかとお願いはしてみようと。
ただミドリムシ、それはいずれにせよ、やってからだと。自分もやりたかったなって後悔する人生だけは、絶対に送りたくないという気持ちはずっと持っていました。
それだけが最後の支えで。
それでも本当にこれは別に私がやったわけではなくて、 1980年代から地道にミドリムシに取り組んでこられた、日本中のミドリムシ研究の先生方の成果が、私にたまたまバトンが回ってきた時に花開いて、2005年の12月16日に世界で初めてミドリムシを育てる培養技術ができたわけですけれども。
私が開発したという意識は全くないですね。
出雲
「ミドリムシで人と地球を健康にする」。「人を健康にする」というのは文字通り、ミドリムシを召し上がっていただいて栄養失調をなくす。これが「人を健康にする」ということですね。
「地球を健康にする」というのは、 1つはミドリムシは光合成で育つ。このミドリムシの光合成をうまく活用すると、非常に濃い濃度の二酸化炭素を光合成で固定化することができる。
石炭火力発電所、これは膨大な量の二酸化炭素が出てくるんです。温室効果ガスですから、地球規模の大規模な気候変動のインパクトがあると。
まさに気候が急激に変動してしまうわけですから。ここはすごく雨が多い所だったのに砂漠になってしまったり、もしくは少ししか雨が降らないはずのエリアだった所が巨大な台風が来て、突然土砂降りになるとか。
そういう気候変動のリスクを小さくするために、ミドリムシはきっと役に立つと思います。
2つ目がミドリムシを絞ってですね、バイオ燃料を作るんですけれども。バイオ燃料を作るというのは、そんなに難しいことではないんです。
でもバイオ「ジェット」燃料っていうのはすごく作るのが難しいんですね。今ないんです、バイオジェット燃料なんて物は。ミドリムシを絞って飛行機の燃料作ると。
石油を使うのではなくて、ミドリムシバイオジェット燃料という再生可能エネルギーで、世界のエネルギーを作っていく。
こういういろんな活動を通じて、ミドリムシで世界を良くしていく。
具体的には人と地球をミドリムシで健康にしたいと思っています。
経営者プロフィール
| 氏名 | 出雲 充 |
|---|---|
| 役職 | 代表取締役 |
| 生年月日 | 1980年1月17日 |
| 出身地 | 広島県 |
| 出身校 | 東京大学 |
| 座右の銘 | 昨日の不可能を今日可能にする ロケット工学の父、ツィオルコフスキーの銘を参考にしました。 |
| 愛読書 | 『ロケットボーイズ』 ホーマー・ヒッカム・ジュニア |
会社概要
| 社名 | 株式会社ユーグレナ |
|---|---|
| 本社所在地 | 東京都港区芝5-33-1 森永プラザビル22F |
| 設立 | 2005 |
| 業種分類 | 食料品、飲料・たばこ・飼料製造業 |
| 代表者名 | 出雲 充 |
| 従業員数 | 162 名 |
| WEBサイト | http://www.euglena.jp/ |
| 事業概要 | 1.ユーグレナ等の微細藻類の研究開発、生産 2.ユーグレナ等の微細藻類の食品、化粧品の製造、販売 3.ユーグレナ等の微細藻類のバイオ燃料技術開発、環境関連技術開発 4.バイオテクノロジー関連ビジネスの事業開発、投資等 |