弁護士ドットコム株式会社 累計相談件数34万件超のポータルサイト『弁護士ドットコム』を運営 弁護士ドットコム株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 元榮 太一郎  (2015年12月取材)

Vol.5 赤字経営からの脱出成功秘話

インタビュー内容

赤字経営からの 脱出成功秘話

聞き手

弁護士事務所と会社、今の弁護士ドットコムの会社をやられたわけなんですが、先ほどのご自身のお言葉の中にあったように8期連続赤字でという、そこはさすがに悩まれたりとかっていうのは。

元榮

悩んだというか、やっぱり大変でしたよね。元々収益化の目処がないままスタートして、普通のビジネスマッチングだったら取れるようなマッチング手数料を取れないという弁護士法の規制がある。
なかなか雁字搦めのスタートなんですけれども、胆力で乗り切るぞ、みたいな。途中からそういう気持ちに切り替えましたけど、最初はもう真っ暗闇だったんで、やっぱり弁護士の先生方も元々一見さんお断りという、紹介者がいないと仕事を受けないという時代が100年以上も続いて。

聞き手

非常に閉ざされた世界という感じがするんですけれども。

元榮

そうです。料亭スタイルなので、そういった意味ではやはりそんなインターネットでまだ見ぬユーザーさんと繋がるっていうのはちょっとお手伝いできません。っていう形で登録してくれない先生方がほぼ大半でしたので、厳しいスタートでありましたが、必ず自分の原体験が大事。僕の心の支えでしたね。あの時の交通事故で、本当に悲嘆にくれて、どうしようどうしようと思った人。今も絶対にいて、その人はこのネットの時代はだれにも相談できず、ネットで必死に相談している。そういう場所で弁護士と繋がる場所を作るってことは確実にニーズがあるから、ニーズがあるところは必ず事業化するっていう僕の強い信念というものがあったので、これは時間が解決すると思って乗り越えましたけどね。

聞き手

どれくらいからいけるなと感触を掴み始めたんですか?

元榮

最初からいけるなと思っているので、一度もいけないと思ったことはないです。
孫正義さんも言ってますけど、時代を読んで仕掛けて待つ。これは私も起業したその日から24時間365日起業のことばかり考えてますから、色々とこう勉強するわけですよね。そうするとこう僕の背中をポンと押してくれたり、励ましてくれる先人たちの言葉とか先輩企業の歴史があるわけですよね。だから読んで仕掛けて待つ。まさにそうじゃないかと、弁護士が一見さんお断りの時代からまだ見ぬユーザーと積極的に、しかもインターネットで繋がる時代は絶対来るという僕の確信の元、これを読んだわけですから。で、弁護士ドットコムを仕掛けて、あとはどれだけ待てるかと。

聞き手

弁護士としてのお仕事っていうのも、今もやって。

元榮

これはですね、上場の準備に入った時に主幹事証券会社から弁護士として直接案件を担当するのは、これは止めてくださいと。ただ法律事務所を、オーセンスという法律事務所をやっていますけど、そこの代表であること、代表兼務はむしろ、やはり数少ない、弁護士がまだ3.6万人なので。そういう世界において、弁護士事務所の経営者であるというのは、やはり内輪として、仲間として認めてもらえるうえで大事な立ち位置だよねというふうにご理解いただいて。そこは認めて頂いていますね、東証さんにも。

聞き手

ご自身が、現場が分かる弁護士さんであるからこそ、こういったビジネスももっとどうすれば、登録されている弁護士の方がうまく使っていけるかとか、ビジネスに役に立つのかとか。あとは使われるユーザーさん、一般の方々にどうすればわかってもらえるのかっていうのを考えていけるって繋がってますよね。

元榮

そうです。むしろ競合優位性に繋がるんですよね。
やっぱりいち弁護士事務所の経営者として、日々刻々と年を追うごとに変わっていく弁護士の競争環境やマーケティングの最新事情を自分たち自身がデータを持っているので、それをそのまま気づきを、弁護士ドットコムのサービスに反映させることができるというのは他のネット企業が弁護士じゃない人がやっているネット企業が参入してきた時にそこまで生の情報を遺憾なく活用するっていうことはまずもって難しいと思いますので、そこはやっぱりこの2つをやることが、弁護士ドットコムにとって大きなプラスである差別化要因であるというその関係性が、やっぱり今のこの2つやっていることの意味に繋がってますよね。
僕の場合は大体イメージして、そこまで行くぞって決めて、自分が信頼できるプロセス、ストーリーを描けたら、もう達成したつもりになって、あとは現実がそれをなぞっていくっていうそういうような目標達成の仕方なんで、僕としては起業した2005年の時に絶対上場するって決めているんで、僕の中では上場は必達目標なんですけど、本当にこれはもう来年行くなくらいになったのが2013年の8月。今までこの弁護士ドットコムっていうのは、弁護士さんにとっては顧客開拓に繋がるので、最大の受益者の1人が弁護士ですよね。でもこの弁護士さんからサービススタートして8年間1円も頂かないで運営してきたという、そういう運営をしてきたからこそ8期連続赤字なんですけど、要はシェアの優先、弁護士のシェアの登録シェアの拡大を最優先して、経済的ハードルをゼロにするという、そのやり方を取っていたんですね。アリババのそうですし、ヤフーオークションも食べログもそうですし、最初は大体スケールを狙って、最初はやせ我慢をして無料にしていたんですけど。で、それを有料にしたのが13年の8月なんですが。で、すごく初速が良くて、たくさんの弁護士さんが有料会員にコンバージョンしてくれたんですね。その時に自分の中で勝手に鐘がカーンと鳴りましたんで、いったぞこれ、ようやく待ったけどきたなと、そっからは上場経営者のつもりで生きてましたけどね。


経営者プロフィール

氏名 元榮 太一郎
役職 代表取締役社長 兼 CEO

会社概要

社名 弁護士ドットコム株式会社
本社所在地 東京都港区六本木2-4-5 六本木Dスクエア
設立 2005
業種分類 情報・通信業
代表者名 元榮 太一郎
従業員数 70 名
WEBサイト https://www.bengo4.com/
事業概要 弁護士ドットコムの開発・運営、税理士ドットコムの開発・運営
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