株式会社日本M&Aセンター 中堅・中小企業のM&A仲介において国内No.1の実績を誇る注目企業 株式会社日本M&Aセンター 代表取締役社長 三宅 卓　 (2012年11月取材)

歴史

三宅

今の会長が、前の会社の新入社員の時代の上司なのです。私が新入社員で会長の分林が営業課長でした。そういう関係です。ちょうどバブルの絶頂期に相続税対策のコンピューターを会計事務所に販売していました。

相続税の計算ができて非常に助かったのですが、実はバブル期で中小企業の息子さんのほとんどが良い会社に就職してしまって、後継者がいないというお話しを、税理士の先生からうかがって、中小企業をM＆Aで救おうと、そういう会社を作ろうという企画が持ち上がっていました。

その頃私は日本オリベッティにいて、分林は別のソフト開発会社にいたのですが、たまたま名古屋の事業所長をしていた時に分林が来まして、それでヒルトンホテルで食事をしながら「三宅さん、今度、中小企業の後継者がいない会社を救うためにM＆Aの会社を作ることになったよ」という話をされました。

それが面白いと思いましたので、私も参加したいと言いましたら、「ちょうどよかった」と、では俺が東を担当するからお前は西を担当してくれと言われました。それで設立から参加したという経緯です。

三宅

最初設立した当時は、M＆Aが一般的でなくて、M＆Aという言葉を聞いても「何ですかそれ」と言われる時代でした。またM＆Aの言葉を知っている人でも、乗っ取り屋というイメージが強くて、正しいM＆Aを知っている人が非常に少ない状況でした。

したがって、我々がやろうとしていたのは後継者がいない会社を中堅企業に買ってもらい、存続させて、雇用も守っていくという仕事なのですが、それを理解してもらうのがとても難しかったというのが一つあります。

それからもう一つは資料がまったくなかったのですね。それでノウハウというものも全くありませんでした。そこを一から作っていくの大変でした。大変でしたが、逆に楽しかったです。全部自分たちが作ったものがスタンダードになるという事が楽しかったです。

三宅

１０年間やってきた仕事を振り返ってみると、ものすごく喜ばれています。後継者がいなくて自分が病気で、このままでは会社を畳まなくてはならないと、会社を畳んだら従業員が路頭に迷う。自分自身も借金を背負ってします。こういう会社を中堅企業に買ってもらい、素晴らしい相乗効果が出て、会社が大きくなり、従業員は継続雇用してくれる。

自分はキャピタルゲインの何億かを貰えたという事で、涙を流して喜んでもらえる方たちがすごく多くいました。それで、私どもも自分のことだけ考えていたのではいけないのではないかと、そう思うようになりました。

三宅

ここで、成長戦略をとって、情報量を圧倒的に増やそうという事で、会計事務所のネットワーク、それから地銀信金のネットワークをさらに強固なものにしていく、そのための人員を増やしていく事にしました。

情報量が増えて、ネットワークが増えて社員が増えていくと、どうやって情報を共有化していくかということがテーマになるのです。M＆Aの会社というのは職人主義なのです。それは初期のコンピューターの世界と似ていまして、詳しい人がプログラムを組んで、まさに職人の世界です。

それではいけないというので、ドキュメンテーションをスタンダード化していこうと。ルールでやっていこうと考えました。M＆Aの世界もこれではないかと思い、それで企業評価の仕方も、レファレンスという考え方を取り入れて、すべての会社を同じ企業評価方法でやると、企業概要書も同じ方法で作りました。

それから譲渡企業にインタビューする時、いろいろな定性情報を聞き出す時も、インタビューシートのフォーマットを作って同じ内容のインタビューをする。ですから誰が行っても同じものが出来上がる。というシステムを苦労して作りあげました。

社員、金融機関、会計事務所がそれを全て共有化することで、情報が一括管理できるようになりました。そこで生産性が上がりました。情報の共有化と誰でも同じ仕事ができるという事、出来上がった情報を全員で共有できるというそういう仕組みを作った事で、大きく爆発的に成長できたと思っています。